真夏の暑さが、少しずつ柔らかくなり始めた頃
まだ遠くにいるような、でもすぐそこにいる気もする。
ほんのりと漂う秋の香りが、私たちのテーブルにも運ばれてきました。
「初秋の新作 マスカットほうじ茶クリームパイ」
秋限定のひと皿です。

「秋は、ちょっと立ち止まる季節かもしれない」
そう思うことがあります。
夏の熱気と喧騒を抜けたあと、ふと自分のことを見つめたくなるような時間がやってくる。
だからこそ、そんな秋の休息に寄り添えるような時間をつくりたい。
私たちがこのパイをつくるときに込めたのは、そんな想いです。
新潟県産のマスカットは、口に含んだ瞬間に弾けるような果実感があり、華やかさのある甘みとジューシーなみずみずしさが特徴です。
マスカットもいろいろと食べ比べると、味に違いがある。
人間と似てるなーなんて思いながら
「適材適所」という言葉を片手に、コーヒーテーブルのパイに合うマスカットはどれだろう?と一つひとつ手にとっていく。
そして、ちゃんと出会えました。
余談ですが、食べてみないと違いってわからないですよね。
違いが分からないのは食べ物だけじゃなく、何事も。
仕事も趣味も、挑戦も、全部やってみないとわからないことだらけで、やってみてはじめてわかる大変さや楽しさというものが、たっくさんある。
言葉で言われたら「そんなの当たり前じゃん」って思うけど、その当たり前が実際当たり前にできてないことも意外とあったりしますよね。
情報が多すぎる時代だからこそ、やる前から予備知識が増えすぎちゃって、動く前から決めつけちゃう、、っていうのは少しもったいない気がしています。
果物も実際に手にとって食べてみると、事前情報と違うことってあるんです。
「あれ、意外とこっちのほうが甘いぞ」とか
情報には、一次情報・二次情報と言われるものがあって、コーヒーテーブルが大切にしているのは、一次情報。
一次情報って、自分が実際に見たもの、触ったものから得られる情報のこと。(直接得られるもの)
二次情報って、自分以外の誰かが言ってたことや見たことから得られる情報のこと。(間接的に得られるもの)
さらにいうと「〇〇っていうサイトではこう言ってたって、△△さんが言ってたらしいよ」
みたいなのって、三次情報、四次情報のようなものになっていくから、どんどん情報の質が下がっていくんです。
一次情報がその人にとっての真実であり、情報の質が一番新鮮ってこと。
つまり「あなたは、実際に食べてみてどう思ったの?」の答えが、つくるときに一番大切にしたいこと。

だいぶそれました!
マスカットに戻ります。
そのままでも十分に美味しいマスカットですが、今回はほうじ茶と合わせることで、新しい物語をつくり出しています。
マスカットとほうじ茶って、意外だけど合うんです。
今回使用しているのは、京都宇治のほうじ茶。
香ばしさがやさしく広がり、こころを落ち着けるような余韻を残してくれます。
焙煎された茶葉の香りは、どこか懐かしく、でも気品のある佇まいがあります。
その香りを、新鮮な北海道産の生クリームに練り込むことで、特製の「ほうじ茶クリーム」が生まれました。
軽やかで、すっと溶けていくのに、余韻にほのかな香ばしさを残していく。
そのクリームをパイにたっぷりと閉じ込めました。
そして、この物語を支えるのは、自家製のパイ生地。
オーブンの中で少しずつ層を重ねながらふくらみ、焼き上がると、手で持った瞬間にほろりと崩れそうなほどの繊細さ。
口に含むと、クリスピーな食感と、層がほどけるような瞬間が訪れます。
思わず目を閉じてしまうような、その瞬間の食感こそがこのパイの土台であり、私たちが大切にしているもののひとつです。
初秋の新作 マスカットほうじ茶クリームパイは、9月3日(水)からご提供が始まっております。
自然の中にある季節とともに歩み、旬の果実と香りを一番よいかたちでお届けするために、日々の数量には限りがあります。
出会ったときには、ぜひお手にとっていただけたら嬉しいです。
秋のひとときに寄り添う、「華」と「香」の物語を
マスカットほうじ茶クリームパイとともに、どうぞお楽しみください。
パイの層は儚く、果実の旬はみじかい。
コメント